【体験報告】
電話ボックスのエロ広告を剥がしていたおばちゃん
たまたま電話番号を調べる必要があったので、四条河原町の電話ボックスの前に自転車を停めた。
ふと横を見ると、小柄な五十代くらいのおばちゃんが、
電話ボックスに貼られたエロ広告(小さいやつ)をびりびり剥がしている。
そういうのって、やくざの人がショバ代払わない業者のを剥がすもんだと思っていたから、
さてはこのおばちゃん、その道の人に雇われているのかと思って話しかけてみた。
「なんで剥がしてるんですか?」
「そんなん、これは京都の恥やから。京都だけやで。こんなに貼ってあんの。大阪にはあらへんで」
それはどうかなと思うが。
お疲れ様ですと言って電話ボックスに入る。
ふと見ると、スーツを着た中年の男の人がおばちゃんに話しかけてる。
僕は思わず二人の会話を盗み聞き。
おばちゃんは僕に話したのと同じようなことを言っている。
「そうですね。観光客にも悪い印象を与えますよね」
頷くスーツの男。ふたりは観光客への影響について語り合う。
男がおばちゃんに尋ねる。
「どちらにお住まいなんですか?」
「四条西洞院です」
「それはそれは遠いところから」
「御池まで上がって、木屋町を下がって、剥がしてまわっているんですよ」
調子に乗って話し続けるおばちゃん。
「失礼ですが、お名前は?」
「U村です」
おいおい、普通、名前まで聞くか?。
この男の人、ものごしは柔らかいけど、
なんかただものではない雰囲気。
あとで怖いお兄さんらが家に押しかけてきても知らんぞ。
おばちゃんが行ってしまったあと、
僕は気になって、その男の人に話しかけた。
「観光協会とかの方ですか?」
「いや、私は警察です」
なーるほど。妙に納得した。
「こうやってボランティアで剥がしてくださる方がいるのは
大変嬉しいことなんですが、貼っているのがやくざとかでしょう。
何かトラブルに巻き込まれたらいけないと思って、
さっきから見張っていたんですよ」
警察ってすごい。気付かないところで僕らを守ってくれているのね。
おばちゃんは警察に守られていることにも気付かず、
平和な日々を送るのだ。
これで実は男の人はやくざで、僕を騙していただけだとしたら
「やくざってすごい」ってことになるのだろうが、
僕はそれ以上疑うことはなく、その場を去った。
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℃ Taro Tezuka 2001 (2001年11月21日)
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